風間サチコの2作品がギャラリー・アット・ラムフロム・オンラインに登場です。

皆様、アートの秋、満喫してますか?

ここのところ頻繁に楽しそうなアートな情報やニュースを見かけますが、アートなニュースと言えば、最近ちょっと驚きのニュースを見かけました。

なんとグーグルが、世界的に有名なガゴシアン・ギャラリー(Gagosian Gallery/日本では草間彌生や杉本博司などの展覧会で有名でしょうか)とタッグを組み、アート作品販売用サイトを作るんだとか、作ったとか。詳しい事はまだ良くわからないのですが、どうやらIT業界で春頃にちょっとした話題となっていた、美術作品をネットで見つけて共有するサイト「Art.sy(ファウンダーのカーター・クリーブランドはなかなかのイケメン)」が関係しているようで、でもまさかあの「Art.sy」に、最近ブラックな発言連発で話題のエリック・シュミット(グーグルCEO)が手を出していたとは・・・と、今更ながら驚いてます(え?驚く所が違う?)。

 

ということで、今日はギャラリーらしい話題から入ってみましたが、本日のお題はグーグルでもガゴシアンでもございません。本日は、風間サチコ版画作品のご紹介でございます。

風間サチコ作品

 

10日8日(金)からギャラリー・アット・ラムフロムにて開催中の風間サチコ個展『ドジョ戦記-水がヌルくて死にそうです。』展も好評の、風間サチコの版画がラムフロム・ギャラリー・オンラインに登場しました。正確に言うと、してました、ちょっと前に(ファンの皆様、ご紹介が遅れてしまってすいません)。

作品は2点、『戦後60年双六』と『B・L』です。

戦後60年双六』は、その名の通り戦後60年の出来事をコマにした双六がイメージの作品です(上部写真)。1945年8月6日広島に原爆投下をフリダシに、政治的事件、世の中を騒がせた出来事などが総ざらいできる版画作品は、シリアスな事象をユーモアで見せる風間サチコのユーモアセンスが際立つ作品です(個人的には、日中国交正常化記念と書いてあるマス目のパンダらしくないパンダが好みです)。

風間サチコ版画作品『B・L』そしてもうひとつの風間サチコの作品『B・L』は、一通の手紙を携えた手を美しく咲き誇る花々が華やかに演出するロマンチックな作品・・・ではありません。『B・L』とは、アメリカ同時多発テロ 直後に起きた炭疽菌事件に代表されるテロリズム「バイオテロ・レター(Bioterrorism Letter)」の頭文字を冠した作品です。ラムフロム・ザ・コンセプトストアにて販売中の風間サチコTシャツ「B」も、このシリーズ作品をモチーフにし た人気のアイテムですが、どちらもバラの花が象徴的かつ印象的です。

 

どちらの作品も、フレームで額装してのお届けとなりますので、直ぐにお部屋に飾って頂けますよ。

ちなみに、この2つの作品は現在開催中の個展では展示されていない作品なので、気になったらラムフロムのギャラリー・オンラインでチェックして見て下さいね。実際に作品をご覧になりたい場合は、どうぞお気軽にラムフロムへ直接お問い合わせ下さい。

 

ヤノベケンジのトらやんが私たちに教えてくれること

ギャラリー・アット・ラムフロム・オンラインより、本日は、ヤノベケンジの絵本『トらやんの大冒険』から生まれた、作家自らが手彩色を施したリトグラフ作品『絵本を読むトらやん』をご紹介します。

今年、世界は2つの大きな人災に見舞われました。ひとつは今年4月にアメリカで起きたメキシコ湾沖の原油流出事故。そしてもうひとつは最近ハンガリーで起きた有毒汚泥流出事故です。

原油流出事故が起きた当初は、原油で黒く染まった海岸やその原油にまみれて動けなくなった鳥たちの映像をTVでよく見かけましたが、最近では全く見なくなりました。ハンガリーでの事故は起きたばかりなのでまだ時々見かけますが、じきに見かけなくなるでしょう。何故なら日本にとっては遠い国の話しであり、直接的な被害がないことだからです。何処で読んだのか忘れてしまいましたが、そもそも日本人はこういった海外の事故に関するニュースというのにあまり興味を持たず、よってTVや新聞は続報を長々と報道してもお金にならないため、あっという間にそういったニュースを流さなくなるんだそうです。つまり、歴史に残る大災害のその後や事故に隠された真実を私たちが知ることが出来ないのは、私たち自身にも・・・いえ、私たち自身に責任があるということです。でも、普段の私たちはそういったことを意識もせず生活をしていて・・・。

今日ご紹介したいリトグラフは、そんな私に「それでは駄目なのだ」ということを思い出させてくれた作品です。

自ら知るための行動を起こしたヤノベケンジが生み出したもの

現代アーティストのヤノベケンジは、1986年4月に史上最悪の原子力事故が起きたチェルノブイリの高放射能汚染区域へ事故後約10年が経った97年に赴いています。そして多くの日本人が知らない、知ろうとしないチェルノブイリ後の現実を知って、衝撃を受けるのです。

作品を作り発表を続けた行為は、あの日出会ってしまった人々への答えを求めるあがきみたいなものである。

これは後述するヤノベケンジの絵本のあとがきからの抜粋です。事故から10年が経ったにも関わらず未だ居住禁止の高放射能汚染区域で生活する人々との出会いに強い衝撃を受けたヤノベケンジは、それまでの「アートで社会問題を提示する」という自らの活動が、安っぽい正義感と浮ついた功名心にとらわれていたことを悟り、以降、その衝撃を彼のアート活動の原動力とした作品を作り始めるのですが、その代表的な作品シリーズが「トらやん」という、一見ユニークなキャラクターをモチーフにした作品シリーズです。

ヤノベケンジ:トらやんの大冒険/絵本を読むトらやんトらやんは、ヤノベケンジの父親がモデルの腹話術人形に、彼の子供のために作ったという放射線を遮断するアトムスーツを着せたキャラクターです。チェルノブイリから帰国以降、それまでの彼のテーマであった「サバイバル(生き残り)」を「リバイバル(再生)」へと変更、そうしてこのトらやんをモチーフにした数々の作品を発表して行くのですが、2007年にトらやんを主人公にした初の絵本『トらやんの大冒険(写真上)』を発表。その内容は、未来ある子供たちのみならず、その子供たちを守り導かなければならない大人たちにも向けたものとなっており、チェルノブイリという背景を知らずして読む場合と知って読む場合で受ける印象が変わるストーリーとなっています。今回絵本の詳しい話しは割愛させて頂くとして、そして私がご紹介したいのが、その絵本の原画を元にしたリトグラフ作品『絵本を読むトらやん(写真下)』なのです。

このリトグラフ『絵本を読むトらやん』は、ヤノベケンジ本人による手彩色が施されており、エディションも50と少数なことから、かなり貴重な作品といえます(サインも有り)。このシーンが絵本のどのような場面のものなのかは、ストーリー同様あえてここでは語らないでおきますが、誰にもとても暖かい印象を与えるシーンの絵ではないかと思います。トらやんの笑顔もとてもかわいらしくほのぼのとしていて、私自身見ているととても和みます。ただ、あのチェルノブイリの事故を知っている私にとって、ある意味トらやんは心にずっしりと来る存在であり、たまに見るとずきっとするのです。「知らないということ」は決して罪なことではありませんが、「知ろうとしないこと」を自分がしていたと気づいた時には、自分の中にある種の罪悪感が生まれます。私はアートに、時々こんなふうに自らを試されていると感じことがあるのですが、この作品もそんなアートだったりします。あなたは如何ですか? そういうアートに出会ったことはありますか?

 

今日は作品を紹介するというよりも、自分について語るような内容になってしまいましたが、私と同じように感じることがあるという方、一度是非この作品をご覧になって頂きたいと切に思います。如何でしょうか。

この作品を含む、ヤノベケンジ作品の詳細は、現代アート作品を気軽に通販で購入出来る、ギャラリー・アット・ラムフロム・オンライン内の以下のページにてご覧頂けます。また、作品を直接ご覧になりたい方は、リアルギャラリーへ直接お問い合わせ下さい。

山口藍の新作マルチプル作品『香炉』が素晴らしい!

ギャラリー・アット・ラムフロム・オンラインより、本日は、山口藍の新作マルチプル作品『香炉』をご紹介します。

・・・と、その前に、実は私、『香炉』にはちょっとした思い出があります。20代の始め頃に雑誌か何かで、毬香炉(まりごうろ)という、幾ら転がっても中の火炉が常に水平を保つように作られている(こういうのをジャイロスコープ型というのでしょうか)、球形の透かし彫り香炉というものがあることを知り、丁度お香に興味を持ち始めた頃だった私は、当時それがたまらなく欲しくなって、探しまわっていたことがありました。そしてある時その念願の毬香炉を旅行で行った京都で発見したのですが、ところがひとつは非売品、もうひとつは20万円という、当時京都に行くだけでも大変な出費であった学生の私には、その到底手も足もでない値段に泣く泣く買うのを断念したという・・・そんな思い出があったことを、この山口藍の新作『香炉』を見てふと思い出してしまいました。

山口藍 立体作品『香炉』そして、そんな懐かしい記憶を私に思い出させてくれた、こちらの山口藍の新作マルチプル作品『香炉』は、「香りと煙は、自身の世界観に重なるイメージを持っている」という山口が、実際にそのイメージを彼女の世界観に重ねあわせ、見事な立体作品として完成させた、繊細で美しい作品です。

笠の部分は錫(すず)が使用されており、光を受けてきらきらと輝いています。笠の模様の、流れるような曲線は、山口藍のドローイング作品にも通じる、これぞ山口ワールドといった印象を受けます。またこの作品は、外側から見た錫の輝きも美しいのですが、金箔が施された笠の内側も、火炉の部分となる土台がガラス製なこともあって、僅かに取り込まれた外からの光でほんのり輝いており、計算され尽くしたその美しさで見るものを引きつけます。本当に本当に、美しいのです。

 

ところでこの作品、なんと実は、真鍮製の香立てがガラス台に設置されていて、実際に香炉として使用することが可能です(汚れた場合は中性洗剤を含ませた 柔らかい布で洗浄してくださいという注意書きがあります)。その昔私が買うことが出来なかったあの毬香炉をもし買えていたとして、果たして実際お香を焚いたか考えてみると、1回や2回は焚いたかもしれませんが、デイリーに使うことなど決して出来なかったでしょう。そう考えると、もし今この山口藍作品『香炉』で香を焚いても良いですよと言われたら・・・私には到底出来そうもありませんが、気持ち的には、一度で良いのでたいたところに是非居合わせてみたいものです。あまりの贅沢に、気を失うかもしれませんが。

『とうげのお茶や』で遊女として暮らす幼い少女たちをシリーズで描き、その愛らしさとエロティシズムが同居する独特の世界で注目されている現代アーティストの山口藍が、「静かに物語る時間を楽しんで欲しい」との思いで制作された作品『香炉』は、山口藍の手ぬぐい(藍宝:ふじ色)を 用いた特性巾着袋と特製桐箱入りとなっております。この機会にいかがでしょうか?

この作品を含む、山口藍新作作品の詳細は、現代アート作品を気軽に通販で購入出来る、ギャラリー・アット・ラムフロム・オンライン内の以下のページにてご覧頂けます。また、作品を直接ご覧になりたい方は、リアルギャラリーへ直接お問い合わせ下さい。