山口藍の新作マルチプル作品『香炉』が素晴らしい!

ギャラリー・アット・ラムフロム・オンラインより、本日は、山口藍の新作マルチプル作品『香炉』をご紹介します。

・・・と、その前に、実は私、『香炉』にはちょっとした思い出があります。20代の始め頃に雑誌か何かで、毬香炉(まりごうろ)という、幾ら転がっても中の火炉が常に水平を保つように作られている(こういうのをジャイロスコープ型というのでしょうか)、球形の透かし彫り香炉というものがあることを知り、丁度お香に興味を持ち始めた頃だった私は、当時それがたまらなく欲しくなって、探しまわっていたことがありました。そしてある時その念願の毬香炉を旅行で行った京都で発見したのですが、ところがひとつは非売品、もうひとつは20万円という、当時京都に行くだけでも大変な出費であった学生の私には、その到底手も足もでない値段に泣く泣く買うのを断念したという・・・そんな思い出があったことを、この山口藍の新作『香炉』を見てふと思い出してしまいました。

山口藍 立体作品『香炉』そして、そんな懐かしい記憶を私に思い出させてくれた、こちらの山口藍の新作マルチプル作品『香炉』は、「香りと煙は、自身の世界観に重なるイメージを持っている」という山口が、実際にそのイメージを彼女の世界観に重ねあわせ、見事な立体作品として完成させた、繊細で美しい作品です。

笠の部分は錫(すず)が使用されており、光を受けてきらきらと輝いています。笠の模様の、流れるような曲線は、山口藍のドローイング作品にも通じる、これぞ山口ワールドといった印象を受けます。またこの作品は、外側から見た錫の輝きも美しいのですが、金箔が施された笠の内側も、火炉の部分となる土台がガラス製なこともあって、僅かに取り込まれた外からの光でほんのり輝いており、計算され尽くしたその美しさで見るものを引きつけます。本当に本当に、美しいのです。

 

ところでこの作品、なんと実は、真鍮製の香立てがガラス台に設置されていて、実際に香炉として使用することが可能です(汚れた場合は中性洗剤を含ませた 柔らかい布で洗浄してくださいという注意書きがあります)。その昔私が買うことが出来なかったあの毬香炉をもし買えていたとして、果たして実際お香を焚いたか考えてみると、1回や2回は焚いたかもしれませんが、デイリーに使うことなど決して出来なかったでしょう。そう考えると、もし今この山口藍作品『香炉』で香を焚いても良いですよと言われたら・・・私には到底出来そうもありませんが、気持ち的には、一度で良いのでたいたところに是非居合わせてみたいものです。あまりの贅沢に、気を失うかもしれませんが。

『とうげのお茶や』で遊女として暮らす幼い少女たちをシリーズで描き、その愛らしさとエロティシズムが同居する独特の世界で注目されている現代アーティストの山口藍が、「静かに物語る時間を楽しんで欲しい」との思いで制作された作品『香炉』は、山口藍の手ぬぐい(藍宝:ふじ色)を 用いた特性巾着袋と特製桐箱入りとなっております。この機会にいかがでしょうか?

この作品を含む、山口藍新作作品の詳細は、現代アート作品を気軽に通販で購入出来る、ギャラリー・アット・ラムフロム・オンライン内の以下のページにてご覧頂けます。また、作品を直接ご覧になりたい方は、リアルギャラリーへ直接お問い合わせ下さい。