刺激的な鴻池朋子展覧会カタログ

ラムフロムスタッフの岩村です。昨日は七夕でしたね。皆様、天の川は見られたでしょうか? 天の川を見れなかった方に見てほしい、人という宇宙を感じられる1冊鴻池朋子展覧会カタログ「インタートラベラー 死者と遊ぶ人」を紹介します。

「インタートラベラー」って?

2009年に東京オペラシティで開催された、鴻池朋子(こうのいけともこ)の展覧会 『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』。作家活動約10年の集大成と言うべき内容のこの展覧会は、4章からなる巨大絵画「物語シリーズ」、映像作品、ドローイング、彫刻などの代表作が並び、観客が「インタートラベラー」となって壮大な物語世界を体験できる内容でした。

「インタートラベラー」とは、異なる世界を相互に往還し、境界をまたぐ人を指す、鴻池朋子による造語です。人間の心を地球というひとつの惑星としてとらえ、その深い闇の中へ旅をする物語−その主人公が、「インタートラベラー」なのです。

鴻池朋子サイン入り展覧会カタログ「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」より

もともと鴻池朋子の作品が好きだった私は展覧会を観にいったわけですが、正直、怖くなってしまいました。臓器を彷彿させる作品や、溢れ出す感情のように山から噴出すマグマが描かれた作品。天井から吊り下げられユラユラ揺れるいくつもの動物の毛皮…。あまりに展覧会が刺激的で、これからこの展覧会を越すものに出会えるのかという恐怖を感じてしまったのです。それ程、パワーのある展示でした。

貴重な鴻池朋子のサイン入り展覧会カタログは数量限定!

ただ作品を楽しむだけでなく、観客に作品を通して自分の奥深くにある感情や体験を掘り起こさせ、それを追求されるような不思議な感覚。それが鴻池朋子作品の魅力だと思います。定期的に体験したくなる展覧会、それがこうして1冊の図録になり、手元に置いておけるというのはとても嬉しいです。

鴻池朋子「インタートラベラー 死者と遊ぶ人」

この展覧会図録には、展示作品のほぼ全てが収録されており、展覧会同様、見せ方が巧妙! 図録というよりは、絵本を読んでいるようなワクワク感があります。実際の展示と同じ流れで、ページが進んでいきます。

作品グラビアのページでは、鴻池朋子が展示を観ている様子のカットがいくつもあります。作家自身が「インタートラベラー」となって作品の中を冒険しているようで面白いです。また、代表作が名を連ねる集大成的な内容の展覧会カタログなので、鴻池朋子作品の魅力を最大限に体験できます。

ラムフロムでは、特別に鴻池朋子の直筆サイン入りver.を販売中。直筆サイン入りver.はかなりレアです。売り切れる前にどうぞ!

鴻池朋子展覧会カタログ「インタートラベラー 死者と遊ぶ人」は、ラムフロムのリアルストア及びオンラインストアにてお買い求め頂けます。

 

最後に、鴻池朋子の経歴について紹介します。

東京藝術大学日本画科を卒業後、玩具の企画デザイナーを経て、1997年に玩具製作の延長で初個展を開催し、2000年に大型のペインティング作品を発表、その後2005年より、4章からなる巨大絵画の「物語シリーズ」を発表し人気を集めました。現在も頻繁に展覧会を開き、新作を発表し続けています。

最新の展覧会は、ミヅマアートギャラリー(市ヶ谷)で2011年3月9日(水)〜4月9日(土)に開催された個展「隱れマウンテン 逆登り」。会場には、襖に描かれた巨大絵画や、キラキラ光るマウンテンの立体作品が展示されていました。

期間中に開催されたトークイベント鴻池朋子×八谷和彦対談『見る人よ 津波の後に 何を見ている』に参加しましたが、一般人の私とは違う次元で事象を見ていて、鴻池朋子が発する言葉に、何度も何度もハッとさせられました。震災の数日後に被災地に車で向かい、延々とカメラを回し続け、震災を肌で感じた鴻池朋子。その時に撮影した映像の一部をトークイベント参加者に公開してくれました。そこに映るのは、荒れ果てた大地と瓦礫。人はほとんど居らず、異様な雰囲気のなか、どんどん道を進んでいく鴻池朋子一行…。これからの作品にも様々な影響を及ぼすと思うので、今後も楽しみです。

2011年3月11日の震災後、鴻池朋子が発起人となり被災地の子どもたちに絵本を届けるプロジェクト「ミミオ図書館」が設立されました。被災地に届けたい絵本がある方は、参加してみてはいかがでしょう。ミヅマアートギャラリーの「ミミオ図書館」詳細へのリンクがページ下にございます。